アートフェア東京2024レポート!「幽玄」をテーマに巡ったら掘り出し物が続々

今年で18回目!アートフェア東京2024が始まりました。3月10日まで@東京国際フォーラム。古美術・工芸から、日本画・近代美術、そして現代アートまで、幅広い作品のラインナップが、世界的に見てもユニークなアートフェアです。

コロナ禍の渡航制限も解除され、アフターコロナの開放感に溢れたアートフェア東京のカムバック。海外ギャラリーの出展が少し増えて、来訪者も海外の人々を多く見かけました。
それを象徴するようにインターナショナルだったのが、無料エリアのロビーギャラリーにて今年新たに開催された「TheProject」というブース。ロンドン拠点の気鋭のキュレーターであるタラ・ロンディ(Tara Londi)さんが企画した8人のアーティストによるグループ展のコーナーです。欧米や南米など世界各国出身のアーティストの中に、日本出身者は枝史織さん一人でしたが彼女もパリを拠点に活動している中、タラさんから声がかかったとのこと。展示者も訪問客も様々な国の人たちでにぎわい、国境なきグローバルアートスポットといった感じでした。
このキュレーションブースのテーマが「幽玄/YUGEN」です。

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日本の「幽玄」という概念からインスピレーションを得ています。

「幽玄/YUGENは、現在の人間の認識限界を超えた深遠な意義を伝える技術としての、芸術の本来の目的を蘇らせる」というタラさんの言葉を体現するように、展示作品はパワフルでミステリアス。
例えば、枝史織さんの原初的風景の中には、一人の裸の女性が「船」に乗って現れます。洋服など身につけずに、生まれた時のままの姿で髪を振り乱し、自然の一部となっています。自然や時代に翻弄されながらも生きる、小さいけれど力強い命を感じます。

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枝史織さんの作品
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枝史織さんの作品、部分

また、ニール・ハマモト(Neil Hamamoto)さんの作品は、赤青黄色の絶妙なハーモニーが三連の木枠の中でリズミカルに踊っています。タラさんいわく「この作品は北斎のグレートウェーブ(「冨嶽三十六景神奈川沖浪裏」)からインスピレーションを得ていますが、意識的ではありません」とのこと。言われてみれば、波の文様が!そしてこの大波は、北斎の浮世絵の波と同じ向きではなく反転しているのですね。ところが、北斎の作品内で重要なポイントとなっている、荒波に揉まれる「船」は敢えて描き入れていないとのこと。なぜ?時空を超えて21世紀の現代アーティストに影響を与えたインスピレーションの幽玄を探してみてください。

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ニール・ハマモト(Neil Hamamoto)さんの作品
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それぞれのアーティストの作品の中にある「幽玄/YUGEN」の哲学について丁寧に語ってくれた今展キュレーターのタラ・ロンディさん(左)と筆者(右)背景に見えるのは、ニール・ハマモト(Neil Hamamoto)さんの作品

植物が発する言語を立体作品にして見せてくれていたのがドミニク・ラクロシュ(DOMINIQUE LACLOCHE)さんの作品(写真左)。作者は植物に言葉があることを認識はしているけど何を言っているかわからない。。。でもその言葉を植物そのものからかたどった鋳型として取り出して表現しているそうです。「この作品は無限に増やすことができるのよ」と語ったラクロシュさんの力強さは圧倒的でした。

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ラクロシュさんの作品コーナー

「日本でほとんど知られていないことに驚愕しました」とタラさんが教えてくれたアーティストが、タイ・シャニ(TAI SHANI)さんです。2019年のターナー賞を受賞したタイ・シャニさんはイギリス人で、パフォーマンス、映画、写真、彫刻のインスタレーション、実験的なテキストを使用して、忘れられた歴史や物語を探求しているとのこと。世界各国から引っ張りだこですぐ作品が売れてしまうので、今回はこの1点のみやっと確保できたそうです。ミラクルな1点、じっくりと見てみてください。

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タイ・シャニ(TAI SHANI)さんの作品

さてこのような「幽玄/YUGEN」の視点を持って、アートフェアの本編とも言える有料エリア「ホールE」へ!こちらには、100以上のギャラリーが並び、国内外から選ばれしギャラリーが、今最も旬な作家の作品を展示・販売して勝負しています。

まず、デジタルアートの中にたゆたう「幽玄/YUGEN」が美しくて目立っていたのが、√KContemporary(ルートケーコンテンポラリー)の個展形式で発表していた江原彩子さんの作品です。日本の美意識からインスピレーションを得た欧米のアーティストによる名画をモティーフにしたデジタルアート。女性の露出した肌の部分以外は、細かい筆の筆致のように分解されていてひっきりなしにうごめいています。そこには肉眼では見えないけれども間違いなく女性が放っている色気や美のエレメントが放出されてキラキラしています。さすが、次世代を担う優れたアーティストを鋭い審美眼で見極め続けている√KContemporary!ギャラリーパワーも感じました。

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江原彩子さんの作品
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江原彩子さんと作品

相模屋美術店のブースで「ゆきとうすずみ」をーテーマに出品している狩野智宏さんの玻璃茶碗は「幽玄/YUGEN」そのもの。茶の湯の茶碗をガラスで造形してアートの領域まで高めた初めての作家。陶磁器では絶対に表現できないすりガラス調の半透明の中に、抹茶を注いでいただく「幽玄/YUGEN」の境地を体験してみたい!狩野智宏さんは、現代アーティストとして大型のガラスのオブジェも制作していて、そのインスタレーションが作り出す世界も宇宙的かつ「幽玄/YUGEN」です。

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狩野智宏さんの作品

陶芸家伊藤秀人さんによる青磁絵画には、底なしの深さと透明感を感じました。立体と平面の狭間にある陶芸の「幽玄/YUGEN」

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伊藤秀人さんの作品

シルキーで煙るようなきめ細かさに「幽玄/YUGEN」を感じた戸田浩二さんの焼物。

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戸田浩二さんの作品

「現代アートの中に、幽玄を見ることできるか?」をテーマにめぐってみると、今までになかったアンテナがピピッと働くみたいです。ぜひ掘り出し物を探り当ててみてください。

【Information】
タイトル:アートフェア東京2024
会期:2023年3月8日〜10日 ※7日は招待制
会場:東京国際フォーラム ホールE/ロビーギャラリー
住所:東京都千代田区丸の内3-5-1
開館時間:11:00〜19:00(10日〜17:00)
料金:当日チケット 5000円 / 予約チケット 4000円

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評者: (KIKUCHI Maiko)

アーティストと交流しながら美術に親しみ、作品の鑑賞・購入を促進する企画をプロデュースするパトロンプロジェクト代表。東京大学文学部社会学科修了。
英国ウォーリック大学「映画論」・「アートマネジメント」両修士課程修了。
2014年からパトロンプロジェクトにて展覧会やイベントを企画。2015年より雑誌やweb媒体にて美術記事を連載・執筆。
特に、若手アーティストのネームバリューや作品の価値を上げるような記事の執筆に力を入れている。

主な執筆に小学館『和樂web』(2021~)、『月刊美術』「東京ワンデイアートトリップ」連載(2019~2021)、『国際商業』「アート×ビジネスの交差点」連載(2019~)、美術出版社のアートサイト 「bitecho」(2016)、『男子専科web』(2016~)、など。

主なキュレーションにパークホテル東京の「冬の祝祭-川上和歌子展」(2015~2016)、「TELEPORT PAINTINGS-門田光雅展」(2018~2019)、耀画廊『ホッとする!一緒に居たいアートたち』展(2016)など。」

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