7歳のARちゃんと美術館巡り①「荒木珠奈展」で家を光らせたりドアを開けたり🏡@東京都美術館

7歳のARちゃんと大人のまいちゃんは、2人ともアートが好きで仲良しです。
今日は、初めて2人だけで上野の東京都美術館に、「荒木珠奈展」を見に行きました。
ポスターで、光る家の写真や、人が中に入れる黒い球根の骨のようなオブジェが気になっていたからです。

気温35°cくらいある暑い夏。
ARちゃんとまいちゃんは、山手線に乗って出かけました。
上野は行ったことあるARちゃんですが、東京都美術館ははじめて。
まいちゃんが、「こっちだよ」と階段を降りて行きます。
2人ともロッカーにリュックを入れて、小さな肩掛けバッグにお財布だけ入れてレッツゴー。

わ~、いきなりあの写真で見たカラフルな光る家が天井からたくさんつるされています。
めずらしい色もたくさん。

荒木珠奈《詩的な混沌》2005年 東京都現代美術館蔵

真下から見てみると?

荒木珠奈《詩的な混沌》2005年 東京都現代美術館蔵

すごい!お家の中の天井や壁紙に色々な絵が書いてあります。
2人は一軒一軒のぞいて回りました。
展示会場にいた鑑賞をサポートしてくれる方が、「これはメキシコの家だよ。貧しい人たちが、違法に電気を自分の家に引っ張って生活している様子を作品にしたんだって」と教えてくれました。結構シビアな状況を、明るいポエムのように表現したのですね。現地の人も、こんな状況でも明るく楽しく暮らしていたのかもしれない。

「ここに置いてある家を、プラグにつないで光らせてごらん」と鑑賞をサポートしてくれる方。

荒木珠奈《詩的な混沌》2005年 東京都現代美術館 部分

できた!ARちゃんの顔も嬉しそうにかがやきました。
次の部屋に行くと今度は、扉がついた箱がたくさん壁に飾ってあります。

荒木珠奈《うち》1999年 作家蔵

「この鍵で開けてごらん」と鑑賞をサポートしてくれる方。
ARちゃんは、すぐに鍵の番号と同じ番号の箱を見つけました。
南京錠のようなのがついているけどどうやって開けるのかな?

「荒木珠奈《うち》1999年 作家蔵」を開けようとする

ARちゃんは、まいちゃんに手伝って欲しそうでしたが、「ARちゃん、その鍵穴に差し込んで、回せば絶対開く!」とまいちゃんは、ARちゃんにおまかせ。ARちゃんは、しばらく格闘しましたが、かちっ。開いた!
またARちゃんの顔が笑顔で輝きました。

「荒木珠奈《うち》1999年 作家蔵」が開いた!

中には版画の絵が入っていたのだけど、もやっとしてまいちゃんにはよくわかりませんでした。するとARちゃんが「ベッドだ!」。たしかに!ARちゃんすごい!

荒木珠奈《うち》1999年 作家蔵 部分

するとそこへ、作品を作った荒木珠奈(あらきたまな)さんがやってきました。
「久しぶり~」とまいちゃんがあいさつ。10年以上ぶりに会ったのです。
改めて名刺交換をすると、その名刺にも不思議な絵が描いてありました。

ARちゃんは、その名刺に描いてあったのと同じ絵を会場内で発見。

荒木珠奈 《Refuge》 2021年 エッチング、アクチント 作家蔵

やはり版画作品ですが、形も風合いも不思議。
あら、この絵の中にあるのと同じ形をしたテントがある!
会場に置いてあった絵本を、このテントの中で読んで良いというので、2人で入って読みました。避難所のテントということで、本当は食べ物がなかったり寒かったりするような状況のテントだと思いますが、なんだか2人であたたかい雰囲気になりました。
ウクライナの民話で、手袋のお話の絵本でしたが、ARちゃんは知っているとのことで、まいちゃんにストーリーを語ってくれました。

展示風景より、《むかし、むかし・・・》2022年

さ~て、さらに先に進むと。。。
気になっていたあの、黒い球根の骨のようなオブジェが見えてきました。

荒木珠奈《記憶のそこ》2023 作家蔵

オブジェの一部のような黒いものが落ちていたりして、ちょっとキモい。。。
でも中に入れるということで、荒木珠奈さんと一緒に入ってみました。
荒木さんは、「3人の洋服が赤白青でフランスの旗のトリコロールみたい」としゃれたことを言ってくれました。

荒木珠奈《記憶のそこ》2023 作家蔵

この黒いオブジェは、何やら上野の記憶を発信しているようで、色々な映像も投影されていました。

荒木珠奈《記憶のそこ》2023 作家蔵 部分

鏡の蝶々のような丸いものがゆらゆら揺れていて、やっぱりいつもの上野と違う。。。
「まいちゃんの顔は鏡に映るけど、ARちゃんは頭しか映らない!」とARちゃんはおかしそうに笑っていました。

ミュージアムショップで、「何か買ってあげようか」と言うと、ARちゃんは「これかわいい」と言って、ぷにぷにのうさぎを選びました。展覧会と関係ないけどまあいっか(笑)。

【展覧会基本情報】
タイトル:うえののそこから「はじまり、はじまり」荒木珠奈展
会場:東京都美術館 ギャラリーA・B・C(東京・上野公園)
会期:2023年7月22日(土)~10月9日(月・祝)
休室日:月曜日、9月19日(火)※ただし、8月14日(月)、9月18日(月・祝)、10月9日(月・祝)は開室
観覧料:一般1,100円/大学生・専門学校生700円/65歳以上800円/高校生以下無料
開室時間:9:30~17:30、金曜日は20:00まで ※入室は閉室の30分前まで
アクセス:JR上野駅公園口から徒歩7分、東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅から徒歩10分、京成電鉄京成上野駅から徒歩10分
公式サイト:https://www.tobikan.jp/hajimarihajimari/

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評者: (KIKUCHI Maiko)

アーティストと交流しながら美術に親しみ、作品の鑑賞・購入を促進する企画をプロデュースするパトロンプロジェクト代表。東京大学文学部社会学科修了。
英国ウォーリック大学「映画論」・「アートマネジメント」両修士課程修了。
2014年からパトロンプロジェクトにて展覧会やイベントを企画。2015年より雑誌やweb媒体にて美術記事を連載・執筆。
特に、若手アーティストのネームバリューや作品の価値を上げるような記事の執筆に力を入れている。

主な執筆に小学館『和樂web』(2021~)、『月刊美術』「東京ワンデイアートトリップ」連載(2019~2021)、『国際商業』「アート×ビジネスの交差点」連載(2019~)、美術出版社のアートサイト 「bitecho」(2016)、『男子専科web』(2016~)、など。

主なキュレーションにパークホテル東京の「冬の祝祭-川上和歌子展」(2015~2016)、「TELEPORT PAINTINGS-門田光雅展」(2018~2019)、耀画廊『ホッとする!一緒に居たいアートたち』展(2016)など。」

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