不思議なクマ「WHO」は、ウェブ上で天文学的な体験を続けて変容していく私たちの姿?プラダ青山で会ってみよう!

しっかりとした人格や性格を持たず、特定のアイデンティティもジェンダーもセクシュアリティもなく、明確なデザインさえもないという、不思議なキャラクター 「Who the Bær」が誕生しました!見かけはクマのようですが、 そうとも言い切れない。。。

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生みの親は、 ロンドン生まれでベルリン在住のアーティストサイモン・フジワラさん。
おとぎ話や空想文学、アニメ、テーマパークの世界観をインスピレーションにサイモン・フジワラさんが、2020年のコロナ禍での最初のロックダウン中で生み出したマンガのキャラクターとのこと。

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人間同士が出会ったり、外出してフィジカルに体験する機会が極端に限られたからこそ、ウェブ上を自由に行き来し、何にでも変身することができるキャラクターとして登場したのかもしれません。
一見かわいいのですが、子供のように純粋無垢な体験をするだけではなく、文化の盗用や、美容整形、ジェンダー問題など、シビアでえげつない事もたくさん体験してしまう「WHO」さん!

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「出土品を盗んだのは誰?」と書かれています。

サイモンさんに尋ねると、「 「WHO」は、世界で起きている「アイコニック」なことを浅~くたくさん体験 しているだけなのです。 まだ深く理解する力がありませんし、 「モラル/道徳」も 持っていないので、 いわゆる「悪いこと」も あっけらかんと体験してしまいます」とのこと。
まだ誕生して2年だから、 そのように未熟な感じだけど、 これから経験を重ねて成長していくのかな? と思って聞いたところ、 そうでもないようです。

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クマの「WHO」は、今のところ、 ウェブやその他いろいろなメディアに 存在する様々なニュースの中で自分にアピールしてきた事象( アイコニックな事象)を、 深く考えずに体験し続ける存在のようです。

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でもそれって、 私たちがすでにネット上で無意識に体験していることそのものかもしれませんね。 決定的な違いは、 私たちには現実の世界があって、(とりあえず) ひとつのアイデンティティを持って生活していますが、クマの「WHO」には、定まったアイデンティティがなく、 変幻自在だということ!
例えば、 モネの睡蓮の絵の中で、 睡蓮とオフィーリアの 集合体となって池に浮いたりもできるのです!男にも女にもなれるし、「もの 」にもなれちゃう!

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まずは、まだ気づいていない私たちの実態を鏡のように映し出しているのかもしれない「Who the Bær」に、プラダ青山で会ってみてはいかがでしょうか?
一緒に不思議な世界を冒険するような 体験でもあります!

【Information】
サイモン・フジワラ「Who the Bær」
会期:2022年10月15日~2023年1月30日
会場:プラダ 青山店5階
住所:東京都港区南青山5-2-6
問い合わせ:0120-45-1913(プラダ クライアントサービス)
開館時間:11:00〜20:00
料金:無料

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評者: (KIKUCHI Maiko)

アーティストと交流しながら美術に親しみ、作品の鑑賞・購入を促進する企画をプロデュースするパトロンプロジェクト代表。東京大学文学部社会学科修了。
英国ウォーリック大学「映画論」・「アートマネジメント」両修士課程修了。
2014年からパトロンプロジェクトにて展覧会やイベントを企画。2015年より雑誌やweb媒体にて美術記事を連載・執筆。
特に、若手アーティストのネームバリューや作品の価値を上げるような記事の執筆に力を入れている。

主な執筆に小学館『和樂web』(2021~)、『月刊美術』「東京ワンデイアートトリップ」連載(2019~2021)、『国際商業』「アート×ビジネスの交差点」連載(2019~)、美術出版社のアートサイト 「bitecho」(2016)、『男子専科web』(2016~)、など。

主なキュレーションにパークホテル東京の「冬の祝祭-川上和歌子展」(2015~2016)、「TELEPORT PAINTINGS-門田光雅展」(2018~2019)、耀画廊『ホッとする!一緒に居たいアートたち』展(2016)など。」

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