Photo report @Shugo Arts 近藤亜樹「わたしはあなたに会いたかった」見た人:勝又公仁彦

2023年7月6日観覧
子供や子供が好みそうなモチーフ、母子像などが並ぶ。タイトルを含め、お子さんが生まれたのだろうか?と想像したが、果たしてそのようでした。メキシコの壁画を思わせる力強い筆致とマッスは健在。悲しみを乗り越えて、かどうかは定かではないが、ある種の決意と希望を込めた作品群。
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近藤亜樹

わたしはあなたに会いたかった

2023.6.10 Sat – 7.22 Sat
ギャラリーのプレスリリースより
「わたしはあなたに会いたかった」
ほんとうに⼤切な⾃分の気持ちに
⻑い間気づくことが出来なかったけれど
ずっと⼼の中にありました
本能がジタバタと⾳を⽴てて
我慢できずに⾛り出します
そのきもちはとてもシンプルで
とても強くて⼤きくて
私は描くことで気づいたのです冬眠から醒めた獣達も
おひさまを追いかける植物も
会いたい⼈に会えなかった私達も
あたたかさをずっと求めていました
季節が変わって
天の上にいるあなたにも
これから出会うあなたにも
⼀番近くにいるあなたにも
わたし⾃⾝にも
このきもちを素直に伝えたい
「わたしはあなたに会いたかった」
わたしはこの⼿で未来に会いにいく
2023 年 5 ⽉ 近藤亜樹
近藤亜樹は⼦供の頃から⾃分が⾒たいことやものを描いてきた。描き起こすことでイメージの中でそれらに出会い、感動し、世界を理解することができた。絵画は⼼が還る場所であった。それゆえに近藤は何も描かれていない真っ⽩なキャンバスを前にすると不安になる。⾃分はちゃんと会いたい世界を、あたたかな世界を描けるのだろうか。それはいつも孤独な闘いである。繰り返すそのプロセスを近藤は現実の世界に重ね合わせる。⻑く⾟い試練が起こり、私達の⼼は抑圧される。それでも雪が溶けるように、いつか⼼の奥底にある誰かに会いたいと思う気持ちは溢れだす。そしてわたしはあなたに会いたかったと気づき、声に出すことができれば、そのこと⾃体が⼤きな癒しとなりえるのだ。
本展は 3.6m の⼤作をはじめ 18 点の新作で構成されている。描かれた⼈間も植物も動物もぬいぐるみも、みんな誰かに会いたい気持ちを抱えている。家族や友⼈や⽬には⾒えない存在に。そして過去や未来の⾃分にも。
ますます⼒強く進化し続ける、近藤亜樹の最新作をどうぞお⾒逃しなく。
2023 年 5 ⽉シュウゴアーツ
近藤亜樹個展「わたしはあなたに会いたかった」
会期:2023 年 6 ⽉ 10 ⽇(⼟) ‒ 7 ⽉ 22 ⽇(⼟)
会場:シュウゴアーツ
開廊時間:11:00 ‒ 18:00 ⽇⽉祝休廊
企画:⽯井美奈⼦
出版情報 近藤亜樹『ここにいたんだね』
2023 年初夏発売予定、リトルモア刊
「絵は私が今ここに⽣きていることを認識させる 私にとって絵は光のかたまりだ」(本⽂より)
本書は近藤が描き続けている紙作品 84 点を収録。作家の⾔葉とともに絵をお楽しみいただける⼀冊です。
近藤亜樹
1987 年北海道⽣まれ、⼭形県在住。「描くことは⽣きることそのもの」と⾔う近藤の作品は、質量として感じられるほどのエネルギーに満ちている。近藤は⾃⾝を通り抜けるいかなる経験や感情をも刻み込むように描くことで、記憶と現在、想像の世界を⾏き来して絵画という新しい体験を⽣み出している。キャンバスやパネルに限らず、⽴体物、壁天井に囲まれた空間にもよどみなく⾃在に描く。また約 14000 カットからなる油彩アニメーションと実写を組み合わせた短編映画 HIKARI の監督・制作を脚本・コンテから⼿掛ける⼒量など、並外れた可能性を⽰し続ける絵画の申し⼦である。
主な展覧会に「星、光る」⼭形美術館(⼭形、2021)、作品集刊⾏記念展「ここにあるしあわせ」シュウゴアーツ/ フィリップス 東京/ 現代芸術振興財団(東京、2021)、「⾼松市美術館コレクション+ ⾝体とムービング」⾼松市美術館(⾹川、2020)、
「⼼に花を」シュウゴアーツオンラインショー(2020)、「あの⽇を待つ 明⽇を待つ 今⽇」シュウゴアーツ(東京、2018)、「絵画の現在」府中市美術館(東京、2018)、「HIKARI」⼤和⽇英基⾦ ⼤和ジャパンハウス(ロンドン、2016)、「HIKARI」シュウゴアーツ(東京、2015)、「近藤亜樹の⽣態」実家 JIKKA(東京、2013)、「PHANTOMS OF ASIA: Contemporary Awakens the Past」Asian Art Museum (サンフランシスコ、2012)など。2021 年 VOCA 奨励賞受賞。
シュウゴアーツ
106-0032 東京都港区六本⽊ 6 丁⽬ 5 番 24 号 complex665 2F / 03-6447-2234
プレスに関するお問い合わせ:⽯井・藤⽥ gallery@shugoarts.com
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評者: (KATSUMATA Kunihiko)

早稲田大学法学部卒業、インターメディウム研究所修了。幼少時より音楽と文章制作に注力。大学在学中からさらに絵画、写真、映像などの作品制作に移行。国内外で様々な職業に従事した後、発表を開始。インスタレーションから出発し、主に写真を中心とした映像メディアで作品を制作。多様な被写体と実験的な手法により、日常の内に現象しながらも知覚されることのなかった世界を掬い取ることで、観る者を新たな認識へと誘う。歴史・社会・文明への批評的な暗喩を込めた作品展開を続けている。近年は医療や環境をテーマとしたインスタレーションの一方でパフォーマンスも行う。
主な展覧会に「写真の現在2 —サイト— 場所と光景」(東京国立近代美術館、2002年)「都市の無意識」(同、2013年)「あいちトリエンナーレ2016」(岡崎康生会場、「トランスディメンション —イメージの未来形」2016)。主な受賞に「日本写真協会新人賞」(2005年)。主な作品集及び編著に『Compilation of photo series until 201X Vol.1』(Media Passage、2018)、『写真2 現代写真 行為・イメージ・態度』(京都芸術大学東北芸術工科大学出版局、2021)。

http://www.kunihikokatsumata.com

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