グルメガイド「ゴ・エ・ミヨ」2025はますますパワーアップ!「美味しいものは、自然界のバランスの中で生まれる」など、受賞者の哲学もエクセレント

フランスを代表するレストランガイドの1つ「ゴ・エ・ミヨ(Gault&Millau)」の2025年日本版が3月18日に発売されました。
「今年のシェフ賞」はもちろん、「明日のグランシェフ賞」、「期待の若手シェフ賞」、「テロワール賞」など、ユニークでストーリー溢れる賞があるのが特徴的なグルメガイドで読み応えがあります。気鋭の才能を発見する先見の明にたけ、2025年版はインスピレーショナルな料理を心地よく供してくれる店舗を全国から563店舗紹介!
シェフはもちろんのこと、彼らを支える生産者や職人、サービススタッフにもばっちりスポットを当てる素晴らしいグルメガイドです。
そのようなわけで、「ゴ・エ・ミヨ」は、私の近年のグルメバイブルです。

美食の壮大なプロセス全てが詰まっている一冊

発行前日の3月17日には、大手町のパレスホテルで「ゴ・エ・ミヨ 2025」発刊 授賞式&ガラ・パーティーが開かれました。日本版を発売する幻冬舎の見城徹社長が、「誰が食材を仕入れ、料理し、提供するか。その壮大なプロセス全てがこの一冊に詰まっている」と力強く語りました。

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幻冬舎の見城徹社長

受賞者リストは次の通りです。

受賞者リスト

 ●今年のシェフ賞
受賞者:高橋 青空(たかはし はるたか)
店名:青空(東京)

 ●明日のグランシェフ賞
受賞者:北村 啓太(きたむら けいた)
店名:アポテオーズ(東京)
受賞者:杉山 乃互(すぎやま だいご)
店名:温石(静岡)
受賞者:八木 恵介、梅達郎、北川悠介(やぎ けいすけ、うめ たつろう、きたがわ ゆうすけ)店名:レスピラシオン(石川県)

 ●期待の若手シェフ賞
受賞者:藤岡 智之(ふじおか ともゆき)
店名:プリモ パッソ(東京)
受賞者:ユーゴ・ペレ=ガリックス
店名:氣分(東京)

 ●ベストパティシエ賞
受賞者:工藤 隆浩(くどう たかひろ)
店名:ル・ジャルダン(福井県)

 ●ベストソムリエ賞
受賞者:伊藤 寿彦(いとう としひこ)(東京)

 ●ベストサービス・ホスピタリティ賞
受賞者:茶禅華サービスチーム
店名:茶禅華(東京)

 ●テロワール賞
受賞者:石黒 幸一郎(いしくろ こういちろう)
店名:石黒農場(岩手)
受賞者:佐々木 章太(ささき しょうた)
店名:エレゾ エスプリ(北海道)

 ●トラディション賞
受賞者:赤木 明登(あかぎ あきと)
店名:赤木明登うるし工房 輪島塗 塗師(石川県)

 ●トランスミッション賞
受賞者:佐々木 浩(ささき ひろし)
店名:祇園さゝ木(京都府)

 ●イノベーション賞
受賞者:サンティアゴ・フェルナンデス
店名:MAZ(東京)

ヘルシーな自然界との共存が最高のグルメにつながる

今回、受賞者のみなさんのコメントで目立っていると感じたのは地球環境への配慮です。自然界との絶妙なバランスを保ちながら共存することが、最高においしいものを食べられることにつながることを痛感しました。印象に残ったコメントは次の通りです。

「今年のシェフ賞」を受賞した「青空」の高橋青空さんのコメント。

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「青空」の高橋青空さん

「最近、鮪は、良い産地で、良いものが獲れません。鮪は増えているといわれますが、餌が減っているのです。冬の時季、津軽海峡では、スルメイカの腸がパンパンに膨れます。それを食べて鮪が美味しくなるのですが、そのスルメイカが痩せ細っている。、美味しいものは、自然界のバランスの中で生まれるものなのです」(「ゴ・エ・ミヨ 2025」からの引用)。

「期待の若手シェフ賞」を受賞した、「氣分」のユーゴ・ペレ=ガリックスさんのコメント。

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「氣分」のユーゴ・ペレ=ガリックスさん(写真右)

「ガストロノミーの未来を考える時、できる限り近くでとれる素材を使うことが重要になってくると思います。二酸化炭素を排出してまで輸入食材を使うことに意味を見出せなくなります。料理人として、地球や環境のためにできることを常に自問自答し、少しでも良い選択ができるように努め、今まで学んだこと、身につけたことで、日本の素晴らしい素材を生かしたい」(「ゴ・エ・ミヨ 2025」からの引用)。

また、絶対訪れてみたいと思わせてくれたのは、「イノベーション賞」を受賞した「MAZ」のサンティアゴ・フェルナンデスさんのコメント。

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「MAZ」のサンティアゴ・フェルナンデスさん(写真右)

「私が喜びを感じるのは、主に二つの場面です。一つ目は、思い描いた通りにアイデアを形にできた時、二つ目は、その料理が視覚的、味覚的、概念的にお客様を驚かせ、さらにそのお客様が、何か他にも応用できるようなインスピレーションを得られたと思える瞬間です。私にとって最高の褒め言葉は、『MAZでの食事にインスパイアされた』と言ってもらえることです」(「ゴ・エ・ミヨ 2025」からの引用)。

争うのではなく共存する

「ゴ・エ・ミヨ」の受賞者の皆さんには、輝く哲学がある!と感じました。
そして、「テロワール賞」を受賞した、日本で唯一の「ほろほろ鳥」専用農場を展開する石黒幸一郎さんのほろほろ鳥を始めとする絶品料理とともにドリンクを傾けて祝う受賞パーティーの様子は、神々しいほどハッピーな光景。
土地や食材をめぐって争うのではなく、共存して料理を喜び合うハッピーを、世界中の隅々までゆきわたらせることがグルメの使命なのかもしれないと実感しました。

本の基本情報

「ゴ・エ・ミヨ 2025」
3月18日(火)発売
幻冬舎から発売
発行はONODERA GROUP
A5変型判352㌻。
定価3300円(税込)。
公式サイト:https://gaultmillau-japan.info/

受賞者速報はこちら⇨
https://search.app/PmFzF5PvqhbLsSPs5

 

 

 

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アーティストと交流しながら美術に親しみ、作品の鑑賞・購入を促進する企画をプロデュースするパトロンプロジェクト代表。東京大学文学部社会学科修了。 英国ウォーリック大学「映画論」・「アートマネジメント」両修士課程修了。 2014年からパトロンプロジェクトにて展覧会やイベントを企画。2015年より雑誌やweb媒体にて美術記事を連載・執筆。 特に、若手アーティストのネームバリューや作品の価値を上げるような記事の執筆に力を入れている。 主な執筆に小学館『和樂web』(2021~)、『月刊美術』「東京ワンデイアートトリップ」連載(2019~2021)、『国際商業』「アート×ビジネスの交差点」連載(2019~)、美術出版社のアートサイト 「bitecho」(2016)、『男子専科web』(2016~)、など。 主なキュレーションにパークホテル東京の「冬の祝祭-川上和歌子展」(2015~2016)、「TELEPORT PAINTINGS-門田光雅展」(2018~2019)、耀画廊『ホッとする!一緒に居たいアートたち』展(2016)など。」