第2回 Tokyo Gendai 開催概要
開催日時:2024年7月5日(金)- 7日(日)
※招待客向けプレビューおよびヴェルニサージュは7月4日(木)に開催
開催場所:横浜国際平和会議場(パシフィコ横浜)ホールC/D
公式ウェブサイト https://tokyogendai.com/ja/
昨年7月、パシフィコ横浜で開催された「Tokyo Gendai」は、日本のアートシーンに大きなインパクトを残した。アートフェアの保税資格取得をはじめ、日本においての30年ぶりの国際水準のアートフェア開催など大きな可能性の扉を開いたといえるだろう。今年2回目となる開催の期待が高まる中、フェアの役割とその課題、今年の抱負をうかがうべく「Tokyo Gendai」チームにインタビューを行った。
国際アートフェア「Tokyo Gendai」が語る、今後日本において果たすべき役割と課題
―アジアのマーケットが大きく動き始めていますが、どのようにご覧になっていますか―
中国、台湾、香港、韓国のみならず、アジアのアート市場は新たな段階に突入してるといえると私たちは考えています。Tokyo Gendaiの創業メンバーが、2008年にアジア初の国際アートフェアArt HK(アートバーゼル香港の前身)を立ち上げを行っていますが、そこから約15年の間にアジアにおけるアートマーケットは驚くほどの拡大を遂げました。Art HK設立当時はギャラリーが2軒しかなかった香港でしたが、今ではアジアにおけるアート・文化の重要拠点となっていますし、中国は美術品取引における世界3位の市場を保持しています。
また、台湾は文化としてアートコレクションが根付いているため、個人レベルのみならず家系そして家族企業などと幅広いコレクションがあり、韓国における政策による文化の底支えと大企業によるコレクションの勢いには目を見張るものがあります。各国が独自かつダイナミックにアートマーケットを成長させてきた結果、各都市の持つ経済及び文化背景にふさわしい動きとなり、現在にいたると理解しています。
ーその状況下で「Tokyo Gendai」が日本において果たすべき役割をどのように考えていますかー
Tokyo Gendaiが日本においてどのような役割を果たしていくのかという点ですが、まさに私たちのような国際アートフェアというのは、日本のアートマーケットがより大きく成長していくための必要不可欠なプレイヤーとなっていることから、日本のアートマーケットの成長において極めて重要な役割を担っていると自負しています。世界の主要都市において芸術文化関連のイベントが集中するそれぞれのタイミングというものがありますが(香港はアートバーゼル香港の3月、ロンドンはフリーズロンドンの10月など)、この中心にあるのは常にアートフェアです。世界各国の関係者が一同に集い、コマーシャルのみならず文化、教育など様々な交流の場として機能することで、その都市・国そしてマーケットがより活発になります。Tokyo Gendaiも日本のアートマーケットそして芸術文化活動における重要なプラットフォームとしての役割を担いながら、東京をアジアの主要なアート市場の中心地として発展させるべく大きな責任を持っていると考えています。
ー日本のマーケットについて今後の展望に関するご意見をお聞かせくださいー
日本はそもそも卓越した文化的魅力と強力な経済的地位をもっていますし、国際的にもこの国の持つ芸術文化に対する評価や大きな影響力は、アジアの中でも独自の位置を築いているといえるでしょう。50年以上にわたる魅力的かつ活発なギャラリーシーンもあり、美術館においてもキュレーションが素晴らしい展示ばかりで、そのレベルは世界有数であると思います。その中で税制の問題から国際アートフェアの実現がなかなか叶わなかったという状況ではありましたが、この障壁が取り除かれたことで日本は新たに注目を浴びています。その注目を実際の日本マーケットへのアクセスと交流につなげることができるのが、私たちのフェアになります。このような背景からもTokyo Gendaiは日本においてアート市場のみならず経済発展においても必要不可欠な存在として成長・発展することが重要と考えています。
―マーケットがまだ未発達な日本において、国際水準のアートフェアを開催することの課題は何でしょうかー
昨年が初回、そして30年ぶりに行われる国際水準のアートフェアということもあり、乗り越えなければいけない課題というのは色々とありますが、何より重要視していることは、日本の市場の成長に合わせて、フェアとしてのクオリティコントロールを適切に行っていくことです。フェアの重要性は規模ではなく、やはりそこに出展いただくギャラリーそして作家のクオリティです。規模の拡大のみが目標ではありませんので、日本のアートマーケットとともにクオリティを担保しながら、発展していくことを目指しています。
―最後に、第2回開催にあたっての抱負をお聞かせください―
第1回の昨年は、初年度の試みであったにも関わらず、出展ギャラリーやコレクター、多くのお客様から多くのポジティブなフィードバックをいただきました。皆さまからいただいたご意見をベースとしながら、コレクターの方々のみならず多くの皆さまが現代アートを楽しめるような取組として準備を進めています。例えば、昨年好評をいただいた「Tsubomi」の継続展開や大物から若手アーティストに注目をした複数の大型インスタレーション展示など、作品を実際に購入したいという方から現代アートに触れることが初めてという方まで、年齢を問わずアートを体験し、新しい発見をしていただける場づくりを行っています。
日本では唯一といっても過言ではない国際水準のアートフェアとなっておりますので、日本の皆さまには国際的にトップレベルの現代アートの今をお届けしながら、海外のお客様には日本における注目すべき作家そしてギャラリーを発掘する機会となってもらえればと考えています。
(回答:Tokyo Gendai ジェネラル・マネージャー 小島レイリ)
Tokyo Gendai 2024では、女性作家による社会課題に焦点をあてる展示や子どもの自己表現を触発するワークショップも
国内外からのギャラリーが一堂に会する世界水準のアートフェア Tokyo Gendai(東京現代)は、2024年7月5日(金)から7日(日)まで横浜国際平和会議場(パシフィコ横浜)で開催される。第2回となる今回は、世界18カ国から集結する70ものギャラリーによる作品展示、充実したプログラムを設けることで、国内外の優れたアート作品を新たな視点で探求する機会を提供する。
今回は、国籍や世代の異なる女性アーティスト4人にスポットライトを当てた社会課題をテーマにした展示“Tsubomi ‘Flower Bud’”や、4つの大規模なインスタレーションによる展示が注目の“Sato ‘Meadow’“、国内を代表する複数の財団による特別展も楽しめる “Ne ‘Root’”といった充実のプログラムも。また、昨年人気を博した、各界のオピニオンリーダーによるアートトークや、特設のギャラリー・ビューイングも開催。さらに、今回新たな試みとして、出展作家による子どもの自由な自己表現を促すアートワークショップ “IntoArt”も開催する。
Tokyo Gendai 2024 プログラムの紹介と見どころ
●Tsubomi ’Flower Bud’
昨年好評を博した社会課題に焦点を当てた展示プログラム“Tsubomi”を今年も開催。国籍や世代、文化的
アイデンティティが異なる女性アーティスト4名にスポットライトを当て、分断化する世界状況の下、異なる物事に繋がりを見出す事で生まれる創造性や可能性を提示する。
●Sato ‘Meadow’
現代アートの新たなテーマにスポットを当て、小山登美夫ギャラリー(東京)、GALLERY SIDE 2(東京)、KOTARO NUKAGA(東京)、MtK Contemporary Art(京都)が4つの大規模なインスタレーションを展開。
●Ne ‘Root’
日本を代表する複数の財団(小田原文化財団、福武財団、吉井財団、大林財団、日本現代美術商協会/CADAN)による特別展。
●アートトーク
現代アートを巡る対話を中心としたトークプログラムで、今日のアート界の主要トレンド、トピック、動向について8つのディスカッションを行う。
●子ども向けワークショップ“IntoArt”
今年の新たな取り組みとして、出展アーティストによる子ども向け無料ワークショップを初開催。世界レベルの作家から直接アートを学び、作品づくりの楽しさを体感しながら、独創性を育むことができ、会場では講師となったアーティストたちの作品を見て回ることができるユニークな取り組み。世界的にも日本を代表する著名な彫刻家 名和 晃平とキュレーターの丹原 健翔が監督を務め、出展アーティストがナビゲーターとなる。
<Tokyo Gendai (東京現代)について>
Tokyo Gendai は、国際的に著名な現代アートギャラリーが一堂に会して、アート作品の展示・販売を行う世界レベルのフェアで、2023年7月に初開催。アート作品の販売だけでなく、日本と世界のアートシーンをつなぎ、ギャラリーやアーティスト、コレクターやオーディエンスといった幅広いアートコミュニティが集うプラットフォームとして、新たな視点やアイデアの共有を促進する。本フェアでは、ギャラリーによる展示だけでなく、特設の展覧会やアートトーク、インスタレーションといったパブリックプログラム、そして日本各地の美術館と連携したオープニングイベントやアーティストスタジオ訪問などの招待客向けプログラムも併催され、多角的なアート体験を提供。